真夏の夜の雑記帳

伝説のゲイビデオ『真夏の夜の淫夢』に関連した覚え書き。GOは神にあらず。

『真夏の夜の淫夢』第四章純愛論

『真夏の夜の淫夢』第章純愛論

――愛に満ちた野獣先輩と遠野の交わりを手掛かりに――

 

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野獣先輩は「人間の屑」という言葉をよく目にする。

彼は伝説のゲイビデオ『Babylon34 真夏の夜の淫夢 the IMP』第章「昏睡レイプ!野獣と化した先輩」に出演した。その中で、家に誘った後輩を睡眠薬入りのアイスティーで昏睡させ、地下室に連れ込み強姦する描写があるために、そう言われているようだ。

しかしこれは本当なのだろうか?ビデオ全編を通して野獣先輩=田所がアイスティーに睡眠薬を入れたとの確証は無いし、後輩=遠野との絡みも強姦と呼ぶには少々ほのぼのとし過ぎているように思われる。確かに第4章の題には「昏睡レイプ」の文字も入ってはいるが、詳細な検討も為さず、ただタイトルの字面に踊らされるのは愚かしいことだ。一人の人間を「人間の屑」とまで貶める行為が、そう簡単に許されてはならない。

筆者は、野獣先輩が純粋な愛に生きた男であったと信じているし、そのことはビデオを虚心に見さえすれば誰にでも理解できることだと思っている。汚されてしまった彼の名誉のために、後輩との愛に満ちた行為の記録をあるべき姿へと戻すために、この文章が世の人々の認識を改める一助にならんことを望む。

 

 それでは、第章のシナリオから野獣先輩の行為の是非を検討しながら、この章が純愛をテーマにしたものであることを明らかにしていく。以下は一般的に言われているそのおおまかなストーリーである。

 

 

【昏睡レイプ!野獣と化した先輩】

 

    水泳部の練習帰り、先輩の実家に遊びに来た後輩。

屋上があるというので一緒に日焼けしようという話になる。

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 ↓

    紫外線瞬く曇り空の下で焼き始め、オイルを塗ってやる先輩。

なぜか股間に手をやって「固くなってんぜ」「そんなことないですよ」「溜まってんなぁおい」

という会話を経て、わざとらしく逞しく海パンからはみ出す亀頭。

敏感なところに触れるたび脈打つチンポを見て何かを企む先輩のどアップ。

攻守交代、今度は後輩が先輩にオイルを塗りたくる。

先輩は自ら股間をいじり、亀頭をわざとらしく海パンからはみ出させる。

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 ↓

    喉が渇いたので飲み物を用意しに行く先輩。後輩のグラスにこっそり薬を入れる。

今日どれだけ焼けたか成果を品評しあう二人。

日焼け跡のついた後輩を評する「この辺(大腿のライン)がセクシーだね、エロい!」

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 ↓

    薬の効果で後輩が立ち上がれなくなったのを見て、先輩は第1章の組事務所にそっくりな作りの自室に連れ込む。手を縛り上げ、舐め回す先輩。

後輩が抵抗すると、媚薬を染み込ませた布を口にくわえさせる。

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 ↓

    やがて気持ちよくなってきた後輩、とうとう自分から腰を沈めるまでになる。

56回は体位を変えてハメまくり、先輩が射精したあとは攻守交代。そして後輩も勢いよく射精。

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 ↓

    二人は幸せなキスをして終了。

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(上記はガ板過去スレより一部引用:【アッー!】TDNのガイドライン 野獣の領域に235む後輩http://society6.2ch.net/test/read.cgi/gline/1231512849/

 

 

 これをざっと読めば、第章のだいたいの流れは伝わると思う(ただし、公平な判断が要請される件のため、出来得る限り本編を一度フルで鑑賞して欲しい)。

 さて、一体どこに問題があるというのか。

 

 

  まずは①。物語冒頭~二人が日焼けのために屋上へ昇るまで。

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 この箇所からは野獣先輩の性格――気さくさや後輩を思いやる優しさなどが余すところなく伝わってくる。遠野の悩みを親身になって聴き、励ます姿は先輩としての風格を堂々と漂わせている。勿論、遠野の方に嫌がっているそぶりなどなく、彼は始終笑顔で野獣先輩に相対している。さらには先輩が「まずうちさぁ、屋上、あんだけど…焼いて行かない?」とやや唐突な提案をした時にも「あ~いいっすね~」と気軽に応じたことなどからも、二人の親密さは推して知るべし、と言ったところだろう。

 ここにはレイプに至るような緊張感は微塵もない。むしろこの流れから推測すれば次に来るのは和姦であると考えた方が自然だ。

 

  ②。日焼け、サンオイルの塗布。

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 互いにサンオイルを塗りあうのは仲が良いことの証左であろう。いくら男同士とはいえ、身体に直に触れてオイルを塗るなぞそう簡単に出来ることではない。当然ながら股間云々の部分も気の置けない二人の親密さゆえのことと思われる。もし遠野が野獣先輩の行為を嫌がっていたのならば、嫌だからやめて下さいとはっきり言って断るはずなのである。

 さらに、遠野の方も自身をしっかり勃起させていることから、後の野獣先輩との交合を期待していたと解釈することも出来よう。

 

  ③。野獣先輩がアイスティーを用意。

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ここがよく問題となる箇所である。

 すなわち、「野獣先輩は遠野に渡すアイスティーに昏睡効果を持つ何らかの薬を混入した」と言う説が大っぴらに語られていて、これは「野獣先輩は人間の屑説」「第4章昏睡レイプ説」の有力な根拠とされているのだ。

 読者諸賢はこの時点で既にビデオ本編をご覧になっていることと思うが、「野獣先輩がアイスティーに薬を入れた」という上の説を読んでどうお感じになったであろうか。おそらくは、ある種の憤りを覚えられたのではないか。確かに野獣先輩は何らかの粉を遠野のアイスティーに混ぜ入れたが、それが睡眠薬であるなどと一体どこから推察出来ようか――と。

 その通りである。映像からはその粉が睡眠薬であると確認出来ないし、また明示されてもいないのだ。既に見た確実な材料――親密な二人の関係や思いやりに溢れた野獣先輩の心――も合わせて考えてみれば、これを僅かな映像的資料から睡眠薬と判断するのは全くの早計である。結論ありきの主観的な判断から事実を捩じ曲げんとする、悪意に満ちた卑劣な解釈であると断罪されねばならない。

 むしろここでは、遠野の身体を気遣った野獣先輩が、塩もしくは砂糖などの健康に効果のある粉末をアイスティーに入れたと考えるのが極々自然な考え方だろう。塩は体内の水分保持、細胞の新陳代謝に欠かせないため、たくさん汗をかくようなこの場面では妥当かつ的確な判断である。また、砂糖は脳の働きを高め、ストレス解消に効果があり、しかもスポーツ選手の競技能力向上にも適している。

 

  ④。後輩の介抱。

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 後輩の介抱と後に続く二人の愛の営みの触りにあたる部分だが、ここもしばしば槍玉にあげられる。が、そのような端から破綻した論はまともに顧みるにあたらないから、軽く取り上げるに留めておこう。

 野獣先輩を意地でもレイパーと見做したがる輩は、この箇所において、ともすれば「薬の効果が云々」などとナンセンスなことを言い出す。これも前段のアイスティーに関する議論と同じである。そもそも「薬」とは何か、その「効果」とは何か。遠野の様子がおかしくなったのは事実である。しかしどうして「薬」の「効果」でそうなったと簡単に決め付けることが出来るのだろうか。一笑に付すべき駄論である。

 また、ベッドに寝かせた遠野の手首を縛り、身体を舐め回したというところ。

 ここに至って反野獣論者たちは、まるで鬼の首でも取ったかのように「やっぱり野獣は強姦魔じゃないか」と騒ぎ立てる。映像から見ても遠野は「先輩!何してんすか!やめて下さいよ本当に!」と発言しており、それを無視して行為に及んだ野獣先輩は間違いなく強姦魔だ、というわけだ。さらに彼を黙らせるために媚薬を嗅がせ、無理やり抵抗を封じた点もその悪質性を示す一例として挙げられる。

 だが、筆者としてはこのような解釈を目にして開いた口が塞がらない。呆れてものも言えない。どうも彼らには最初から「野獣先輩は強姦魔」という思い込みがあって、それに基づいてあらゆる判断を行っているふしがあるようだ。何事においても、そのような愚かな先入観に囚われることなく、与えられた資料から総合的に判断することが必要だというのに。取り敢えず、もう一度①②③を振り返ってみよう。そこから読み取れることは何であったか、もう一度思い出してみよう。そう、二人の親密さと遠野に対する野獣先輩の優しさである。この優しい先輩が、いきなり後輩を犯すなどということがあり得るだろうか。いや、あり得るはずがない。それはれっきとした犯罪であるし、嫌がる後輩を無理に犯すなどということ自体、前半部分でその優しい性格を示した野獣先輩には勿論、普通の人間にも到底当てはまらない。にも拘わらず、反野獣論者は「野獣先輩が強姦をした」と言い立てるのである。彼らにはもっと合理的に考えてみて欲しい。まさか「好きな人は犯すもの」などという考えが当然だと思っているわけでもあるまい。

 では果たしてどういうことだったのか。次の⑤⑥と合わせて結論する。

 

  ⑤。愛の営み。

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 言うまでもなく、先輩と後輩という恋人同士の純粋な愛の営みである。正直な話この部分を見て今さらレイプだの何だのと騒ぐような野暮な輩はいないだろう。ただただ純粋で美しい先輩の想いと、それに一途に応えようとする後輩の暖かい感情が一つになり、激しい霊肉の交わりを経て視聴者に訴え掛けてくるのみである。決して遠野は無理やり犯されてなどいない。野獣先輩の「気持ち良いか?」との問いにも「気持ち良い」と答え、タチとして主体的に自ら先輩を掘ってすらいる。繰り返すが、これは断じてレイプなどではない。和姦だ。この⑤を貫く愛に満ちた行為、①②③と見てきた二人の親密さと先輩の優しさ――全てを繋げれば自ずと答えは明らかになる。今私たちが得たこの清らかなレンズを通して事件を顧みれば、「遠野の自由を奪い無理やり犯した」という④における最大の問題も一瞬にして氷解する。つまりはそういう「プレイ」だったと解釈できるのだ。そうでなかったら⑤における愛に満ちた交わりの理由を説明できないし、前半の親密さを示す描写も殆ど意味を持たなくなってしまうだろう。

 さて、ここまででほぼ第章純愛説を擁護し終えることが出来たと考えるのだが、一応一つ言い添えておこう。例の、遠野の抵抗を抑えたという「媚薬」の件である(ここまで読んで頂いた賢い読者の方々にはもはや語るまでもないであろう瑣事だが、いらぬ中傷を避けるために敢えて付け加えることにする)。反野獣論者はこの「媚薬」があったればこそ、遠野はその意志と反対に快楽に堕ちてしまい、いわゆる⑤のように事態が展開しただけであって、実質上は強姦と何ら変わらなかったのだ、とする。戯けたことを言う輩だ。まさしく苦し紛れの言い訳である。そもそも媚薬にそれほどの効果があると、どうして言えよう(本編では「媚薬」かどうかすら自体正確には判別できない)。嗅がされただけでたちまち自分を失い、気持ち良いなどと言いながら憎き強姦魔を掘り、挙句顔にかける――そんな都合のいい薬があるとでも言うのだろうか。こんなものはとんだお笑い草の説であり、論者は果たして低俗なポルノ漫画やAVの見過ぎで正常な思考力を失ってしまったのだろうかと疑うばかりである。

 

・⑥。幸せなキス。

ここに来て一々言うまでもない。この「幸せなキス」は全てを物語っている。二人の恋人の純粋な愛が、確かにここに結実している。このビデオの結末としても、この論の締めくくりとしても、これ以上に相応しいものはないものと信ずる。

 

 

○タイトル解題

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 蛇足のようでもあるが、念のためタイトルについても解説しておく。

「昏睡レイプ!野獣と化した先輩」とあるが、お分かりであろう。比喩である。本能を剥き出しにした野獣と化し、昏睡レイプまでせんとするほどの凄まじい愛をこのタイトルによって端的に示している。今さらこのタイトルを額面通りに受け取るような方はおられないと思う。多少マイナスのイメージのある単語を用いることで、燃え立つような野獣先輩の愛を逆説的に表した非常に効果的なタイトルであったと言えよう。

 

 

◎結論

 『Babylon34 真夏の夜の淫夢 the IMP』第章「昏睡レイプ!野獣と化した先輩」は、純愛をテーマにした作品である。このことは、本論を読み通して頂いた方々には重ねて了解して頂いたことと思う。野獣先輩は後輩の遠野と愛に満ちた交わりをしていたに過ぎなかった。この動かし難い事実を認めず、野獣先輩を誹謗中傷する輩にはもはや哀れみに似た感情すら覚えるが、そのような連中には愛の詩篇たる淫夢4章を見る資格無しとしか言いようがあるまい。筆者自身としては、本論に接した読者がたとえただの数人だったとしても、大切にすべき真実を公に発表することが出来たというだけで嬉しく思う。

 

 大仰に書いてはみたが、偏見を持たず素直にビデオを見れば誰にでも心に感じ取ることが出来る――野獣先輩の愛は、純粋なものであった、と。

 

〈了〉

 

※追記:もしご意見ご感想等ございましたら是非ともお寄せ下さい。